梅原末治さんの漢三国六朝紀年鏡図説ではすべての鏡が鏡面が凸(凸面鏡)だった。
凸面鏡では顔が小さく映る。車のミラーと同様だ。
そうした鏡の実用性は何だろう?
化粧用くらいか。あまり思いつかない。
やはり鏡は単なる威信財だったか?
逆に細部を拡大してみたいときには凹面鏡が欲しい。
点火用にも凹面鏡は使える。
凹面鏡の古代鏡はあっただろうか?
実はあった。多鉦細文鏡という。
Wikipedia 「多鉦細文鏡」によると、韓式の古鏡だそうで、日本にはまず多鉦細文鏡が渡来し、後に中国式の鏡が伝わったらしい。
岡崎敬さんの本(名前は忘れてしまった。機会を見て調べる。)では唐津市宇木汲田遺跡から出土した多鉦細文鏡では、直径10.5cm、凹面の反りは0.2cmとある。
これだけの情報から、放物面を仮定して焦点距離は34㎝と計算できる。
つまり、太陽光を反射すると34cmのところに焦点ができる。
太陽光を使って火を起こすのに手ごろな距離と言える。
もっと焦点距離の長いものを作りたいなら反りを少なくする。
反りの少ない反射面のほうが作りやすい。