前回、前々回と日本人、倭人とY染色体の変異のタイプ別分類の対応を考えた。次は全世界の現人類はどのように分類されるか知りたくなる。そこで以下のWikipediaを参照する。
全世界の現人類のタイプ別分類は、
A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T
まであるらしい。概ね左の方が古く分岐したとされる。
日本人は、Oが半分くらい、DとCが合わせて40%くらいらしい。
中国人は大半がOだ。
インド人はHとLが多いらしい。
ヨーロッパ人はRが多いが、IやJもある。さらにCもほんの少しある。
ネイティブアメリカンはQが多い。
人類発祥の地アフリカはA、B、Eが多い。
このような「Y染色体ハプログループ」を眺めていると実に面白い(と思うのは私だけか)。
特に人種との関連がありそうで、なさそうでまさしく「わからんからおもしろい」。
おそらく肌の色とか髪の毛の色とか顔の作りとかの外見上の人種を決める遺伝子もいくつかあるだろう。しかし、それらはY染色体の上には乗っていない。
実際Y染色体は非常に小さな染色体であってそこに乗っている遺伝子は男か女かの性を決める遺伝子くらいしかない。とはいっても遺伝子つまりDNAは5000万対の塩基対を持つ。
最後に、なぜY染色体の遺伝子の変異に着目するか?それはY染色体が男親から男の子へそっくりそのまま伝わるからだ。そうすると例えばO1b2という変異タイプをもつ「倭人」の男系子孫の男は必ず同じO1b2を持つことになる。古い祖先「倭人」と同じ遺伝子を持つ現代日本人が存在する事となる。
ミトコンドリアDNAの場合は母親のミトコンドリアDNAがその子(この場合は男も女も)へそっくりそのまま伝わる。卵子の内部に母親のミトコンドリアが存在して子へ伝わる。精子にもミトコンドリアが少量存在するが受精の時に精子のミトコンドリアは卵子の中へ入っていけないらしい。従って女系子孫は必ず同じミトコンドリアDNAを持つ。
最近は人類の起源に関する研究はY染色体を用いる事が多い。それはミトコンドリアDNAは16000塩基対しかなく、Y染色体遺伝子のほうが5000万対とずっと大きくてそれだけ情報量が多いからだ、と推察する。