わからんから面白い魏志倭人伝

三国志の時代の魏志倭人伝にはわからん事が多い。わからんからそのまま想像力を働かして楽しんじゃお!

バリウム:この厄介者はどこへ行った?

胃がん検査で今年もバリウムを飲んだ。

これがトイレで流れないで沈殿・鎮座しているから実に厄介だ。

無理やりかき混ぜて水で流す事10回、ようやく眼中から消えた。

それを昨日今日と2日間もやらねばならなかった。

もう来年からはバリウムを飲まないぞ、と決心した。

 

トイレで流れない理由の一つは、節水式便器に変えて水の勢いが減ったこともある。

旧式の吸込み渦巻き型便器ではきれいに流れた。

もう一つの本質的理由は、バリウム(正確には硫酸バリウム:BaSO4)が水より重く溶けない事。

バリウムの比重はWikipediaで調べると4.5g/cm3とある。水に比べて4.5倍の密度だ。そして水にほとんど溶けない。

まあ石ころの粉末が沈殿しているようなものだ。

というわけでほっとくといつまでも便器の奥底に沈殿・鎮座し続けることとなる。

 

この厄介者は10回もかき混ぜて水で流して眼中から消えたが、どこへ行くだろうか?

マンションの縦の下水管は自由落下でさすがのバリウムも下に落ちるだろう。

その後はほぼ水平な下水管だからちゃんと流れるか心配になる。

 

下水が流れるために少しは傾斜がついているが、4.5倍もの密度をもつ硫酸バリウムが予定通り流れてくれるだろうか?

毎年、おそらく1000万人以上の人が胃がん検診でバリウムを飲んでいる。

それらの人が排出した硫酸バリウムは皆下水管へ流れていく。

下水管が硫酸バリウムで詰まるなどという事はないだろうか?

 

こういった疑問は、ネットで調べても解決できなかった。

しかし一つだけ「下水処理施設に係る排出量 」という名の経産省の報告があった。

https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/prtr/h21kohyo/todokedegai_haisyutsu/syousai/22.pdf

これによると、下水処理施設では毎年20トンものバリウム関連物が排出されるそうだ。

1000万人が胃がん検診で飲んだバリウムがすべて下水処理施設に行ったとすると、20トン/1000万=2グラム、つまり一人当たり2グラムのバリウムとなる。

うーんちょっと少ないね。少なくとも2グラムの10倍はあるだろう。

 

となると、我々が飲んだあのバリウムはどこへ行ったのだろう?

都市の地下に横たわる下水管の中に何十年も鎮座しているのではないか。

しかも人々が健診でバリウムを飲み続けるから、毎年増えていくのではないか。

という、あまりしたくもない想像をしてしまう。

 

註)

胃がん検診でバリウムを用いるのは、それがX線を良く吸収するからだ。

それで、胃壁に付着したバリウムによって、胃の表面形状を正確に観察できる。

例えばポリープがあるとその形状が見えるようになる。

だから有用性はあるけどね。